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A's not-so-secret diary

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演劇とクレープな木曜夜

 

 

 

出会ってもうすぐ10年になる友達が居る

 

 

 

 

彼女は人生のほとんど

ずっと演劇をしてきて

今でも演者だ

 

 

 

 

昔彼女が言ったことをふと思い出した

 

 

 

 

「舞台ってさ

お客さんに払わせるのは

チケット代だけじゃないんだよ

 

劇場に来るまでの交通費と

そのあとにごはんでも食べよっかってなるかもしれない食費

帰り道寄り道でもしよっかってなるかもしれない費用

 

そういうものも全部

かかってるんだよね

 

だから

劇場に足を運ぶために腰をあげるその気持ちと

そのあとにごはんでも食べよっかってなる興奮

帰り道寄り道でもしよっかってなる余韻

 

そんな付加価値を

費やしてもよかったって思うそんな付加価値を

提供する役目が舞台にはあるんだよね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昨日クイーンズで

演劇のワークショップを受けた

 

 

10年近くやってた演劇から離れて

3年も経つから

あるいは

3年しか経ってないのに

 

ワークショップの話を聞いた時

演技をすることが

恥ずかしいと思った

緊張するし怖いと思った

 

 

 

でもちょっと重たかったけど腰をあげて

稽古場まで行った

 

 

 

 

いろんなことをした

 

 

大きな声を出した

相手の目の奥を見て相手を感じた

いろんな感情を声に乗せてみた

空間を使ってエチュードをした

頭を柔らかくして

好きな事をした

表現してみた

 

 

 

 

 

すごく

すごく

懐かしかった

 

 

その空間が

本当に懐かしくて

 

 

ぽん、って後ろから

優しく肩をつかまれて

一回立ち止まって

浸ったら?

 

 

ってだれかに言われたような

(比喩表現もいいとこだけど)

 

 

でも本当にそんな優しい気持ちになった

 

 

心が柔軟体操したような

(比喩表現もいいとこだけど)

 

そんな感じ

心が健康になった気がした

 

 

 

 

 

 

 

私の最寄り駅に着くには

クイーンズから7番線に乗って

42丁目で乗り換える

 

 

 

 

家にそのまま帰るのはもったいない

そんな余韻に浸っていた

 

 

 

だから途中下車で寄り道して

ブライアントパークに行って

クリスマスシーズン限定で立ち並んでる

出店をゆっくり回った

 

 

 

なんか気持ちがうきうきしてお腹がすいてきた

美味しい甘いにおいがするから

歩いてみたら

クレープ屋さんがあった

 

肌寒い夜にあったかくてちょっと甘すぎなクレープは

すごく美味しかった

 

 

 

 

 

 

昔彼女が言ったことをふと思い出した

 

 

「劇場に足を運ぶために腰をあげるその気持ちと

そのあとにごはんでも食べよっかってなる興奮

帰り道寄り道でもしよっかってなる余韻

 

そういう付加価値を

提供する役目が舞台にはあるんだよね」

 

 

 

 

 

今日の私だ

と思った

 

 

 

稽古場に行って

42丁目で寄り道して

クレープを食べた

 

 

 

通販番組に乗っちゃったみたいに

「そういう付加価値」に

まんまと乗ってしまった

 

 

でもそのまんまと乗ってしまった自分に

いいのいいのたまには

と甘やかしたくなる

そんな気持ちになった

 

 

 

観客だけじゃなくて

演ずる側をも

 

 

そんな素敵な気持ちにする

 

 

 

舞台だけじゃなくて

演劇そのものに

そういう付加価値=力

があるのかもしれない

 

 

 

と思った

 

 

 

 

今一緒に留学してる友達と

 

演劇は人の心を平和にする

 

って話をした

 

 

 

本当に

そんな力があると

私は信じてる

 

 

 

 

 

 

「観客だけじゃなくて

演ずる側をも

そんな素敵な気持ちにする」

 

 

プロじゃないから

そんな呑気なことが言えるって自覚しているつもり

本気で稽古中のひとが

稽古帰りに寄り道してクレープ食べるとは思ってない

 

 

演劇の持っている力のひとつの例として

書きたかった

 

 

 

でもだからこそ

演劇人じゃないひとたちもみんな

もっと演劇を楽しめばいいのに

って思う

 

演劇に触れたあとには

綺麗な気持ちと余韻

(たまにおいしいごはん)

がついてくるのだから

 

 

 

 

 

っていう

クレープに9ドル払ったことを

演劇のせいにして自分を慰める

そんな今日

 

 

 

 いいのいいのたまには