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A's not-so-secret diary

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あえてスベる英語

 

 

 

 

4月から英語教育の専攻なので

英語の話から

 

 

 

 

 

最近グーグルアシスタントがすごく進化したっていう記事(動画)を

Facebookで見た。

 

 

グーグルアシスタントの紹介ビデオ

 

 

 

グーグルアシスタントが

美容院とかレストランに直接電話をかけて

予約をしてくれるのだけど

全く機械が話してるように聞こえなくて

相手の対応に本当に自然に即座に返答ができる。

英語も単語単語で区切られているとかロボットっぽいこともなく

普通に人間と会話が出来てしまっている

 

 

 

 

なんかもう

もはや将来は人と人との会話がなくなっちゃいそうな気分になる

 

 

 

 

 

でもそれよりも、私は、そのグーグルアシスタントの威力を見て

人同士の会話がなくなる前に、

 

人同士の英語での会話がなくなる日は

いつか訪れる気がしてしまった

 

 

 

 

観光の場でも、ビジネスの場でも

違う言語の人達が混じりあう時はもっともっと増えるはず

 

 

ロボットがあそこまでに自然に話せるのなら

 

お互いに機械を持って、

その場で、母語で言いたいことを吹き込んで

はい、って相手に聞いてもらえれば

あまりにも普通に会話が出来てしまう

 

(実際私はもう卒業旅行で行った韓国で、

空港で借りた翻訳機を使って同じようなことをしてしまった。

けどグーグルアシスタントはその翻訳機よりももっともっと

人間の口語に酷似して話せる)

 

 

 

 

会話に必要な要素

例えば、アイコンコンタクトとか表情。

本人達はその場に居るわけだから、

相手にそれは汲みとってもらえるし伝わる

 

 

 

 

ちょっと専門的になってみて(大学院デビューしたので)、、

「コミュニケーション能力」には4つ要素が主にある

 

 

1文法能力(文法、語彙、構造とかが正しい能力)

2談話能力(ちゃんと意味を持つように文と文を繋げて話す能力)

3社会文化的能力(その場の文脈を読んで適切に話す能力)

4戦略的言語能力(コミュニケーションで問題がある時に対処する力)

Canale and Swain (1980)

 

 

 

 

たぶんグーグルアシスタントにも

相当なコミュニケーション能力がありそうだ

 

 

 

英語を使ったコミュニケーションを

グーグルアシスタントがしたら、、

 

 

 

 

とりあえずまず1つ目の文法能力は絶対にあるはず

文法も語順も正しく言ってくれるに違いない

(“正しい英語”の話は一つ前の記事で話したばかりだけど)

 

 

文脈を読みながら、文章同士をちゃんと意味があるように

繋げて発話する2つ目の談話能力も、持ってそうだ

(翻訳機能としてグーグルアシスタントを使うのであれば

母語を話す人に談話能力があれば、クリアしている)

 

 

3つ目の社会文化能力は、その状況によって適切な態度、考え方、

相手との距離感とか地位関係を理解して話せる能力

今までなら、「ロボットはそれが出来ないんだよ」と

私は言っていたけれど、

この動画を見て、そういう能力をもったアシスタントさんも

グーグルは開発してしまいそうだと思った

 

 

 

 

そして4つ目の戦略的言語能力

 

これは、「会話のつまづき」を突破しようとする能力(p.139)、

例えば分からない・知らない単語があったときに

簡単な言葉や別の言葉に言い換えたり、

その単語を分かりやすく説明するよう能力

(この前ちょうど友達が、単語をど忘れして

「ほら、あのーなんだっけ、マドレーヌの相方みたいなの。」

ってフィナンシェを説明してた能力と同じだ思う)

 

あとは、コミュニケーションに対する意欲、

会話の間を持たせようとしたりする気持ち(p.139)

全然文脈のない違う話をふったりとか、、

 

こういうものを戦略的言語能力っていうみたい。

 

 

 

 

 

グーグルアシスタントは戦略的能力を持っているだろうか

 

 

それはすこし疑問。

 

 

なぜなら、第一に完璧に英語ができるから。

 

 

(グーグルアシスタントは

たぶんまずフィナンシェって言う言葉を忘れる事自体しない)

 

 

 

 

 

問題なく英語が出来て

十分な語彙があって、綺麗に英語が話せて、、、

 

 

 

 

 

 

便利だけれど、

でもそれはあまり面白くない気がしてしまう

 

 

 

 

 

 

 

話がずれるけれど

 

私はいつもますだおかだの岡田をみると

一周回って凄いなぁと思う。

面白いことを言うことも絶対に難しいことだけど

わざとスベることも絶対に難しいと思うから。

 

みんなが認める王道の面白いことを言うのをやめて

あの絶妙なラインで滑って逆に自分のキャラクターを

確立してることもだいぶすごい技だと思うのだ

 

 

 

 

 

 

綺麗で隙のない正解の英語を話すのもいいけれど、

隙がありありの英語のほうが

人間らしい

私は日本語ですら隙がありあり

 

 

 

 

 

みんなが認める王道の英語を話す力も大事なのかもしれないけれど

 

近い未来にそれを達成してくれる人間以外の存在が

出てきてしまうのだとすれば

 

 

語彙が出てこなくても、

簡単な言い方しか思いつかなくても

間を持たせようと突拍子もないこといっても

 

 

 

人間の私達は、

あえて「すべる」岡田的イングリッシュを

目指して、英語に色んな色を持たせるしか

「人間しか話せない英語」を狙って行くしか

道がなくなってきそうな気がする

 

 

 

 

もし私が友達と日本語で会話してて

言い間違えも、

変な間も正しい間も、

「いやどういうこと」って聞き返されることも、

「えっ今のは引く」って微妙な反応されることも

「いやそんな単語が思いつかなかったんかい!」ってつっこまれる事も

「いや唐突すぎだから」って怒られる事も

なにもなくなってしまったら寂しい。

 

 

 

 

 

世界中にお友達ができることがよくある時代

英語で人と話すときだって

同じ事だと思う。

 

 

 

 

 

 

うん。

グーグルアシスタントだったら

真面目なコミュニケーション能力の話の最中に

いきなりますだおかだの話もしないはず。

 

 

 

 

 

 

参考文献 佐々木ゆり(2007)「コミュニケーション能力」を考える:日本が目指すこれからの英語教育と変わりゆく指導者の役割. 宮城教育大学紀要. 42. pp.137-144